ママパパの言葉が子供の自己肯定感を高める〜自己肯定感形成の2段階目「自己受容」を理解する②〜

自己受容ってどうやって深めるのか?こういった疑問をお持ちの方のために、過去の研究結果を紹介いたします。

自己受容は自己肯定感形成に必要な過程かつ対人関係、課題解決力に大切な力です。

それでは共に学んでいきましょう!

こぶお
こぶお

ティラノ博士、こんにちわ!
この前は自己受容について教えてくれてありがとう!

おお、こぶおくんこんにちわ。
今日も元気で、何よりだのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

自己受容は、良好な友達関係を築いたり、課題解決力を高める力があるとは予想外でした。

自己受容単体だけだと、その様な効果が認められているのん。
ただ、その先には自己肯定感を深めることにつながっているんだのん。
そこを忘れないようにのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

自己肯定感を深めることが今回の目的でしたね。
ところで、自己受容はどのように深めるんですか?

さすが、質問小僧、こぶおくん。
早速、今日はそこを紹介していくのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

目次

自己受容の深める

自己受容を深めるにはどうすれば良いのか?

ここでは国内の自己受容の深さを検討した研究を元に3つの要素を紹介します。

  1. ママパパとのやりとり
  2. 自分への気づきと見つめ直し

ママパパとのやりとり

自己受容の深める要素として、ママパパの存在が大きく関わることがわかっています。

その根拠となる研究を本日は紹介します。

ママパパの共感が、子どもの自己受容・他者受容を深める

2015年の研究結果では、日本の高校生は、ママパパから共感や理解を示してもらうことにより、自己受容と他者受容が深まることがわかりました。

この研究では、大阪と京都の公立・私立高校生760名を対象とした研究でした。

この研究では、自己受容・他者受容・ママパパとの関わり、について検討をしました。

ママパパとの関わりの具体例として、「会話頻度」「共感」「理解度」を検討されました。

結果、ママパパから共感や理解を示してもらうことが、高校生の自己や他者への受容が深くなったと考察されました。

この研究だけでは、他の要因である友人関係や部活動の要因が影響している可能性があります。

しかし別の研究では、ママパパとの関わりの方が最も自己受容に影響していたという結果が出ています。

ママパパが、子どもの自己受容を回復させる

2004年の研究結果では、女子中学生は自己受容とママパパへの自己開示が関連していることがわかっています。

この研究では男子と女子で解析をしていますが、男子ではその傾向は見られませんでした。

中学生の時期はまだ「子が困った時には親が支援する関係」だと思います。

この研究では、ママパパに自己開示をし、反応を得ることによって、自己受容の不足を回復しようと試みている可能性が考えられていました。

ママパパとのやりとりが、子どもの自己受容を深める

同じように高校生を対象とした研究で、集団との関わり方と自己受容の深さの関連性を検討しました。

集団は、学級・家族・部活動・仲間集団の4つの集団で検討をしました。

結果、家族を大切に思うグループが最も自己受容が深かった(スコアでは高かった)ということがわかりました。

この様なことから自己受容を深める要素として、ママパパとの会話や共感、相互理解という「やりとり」が考えられます。

ママパパとのやりとりは、子どもとの信頼関係を深める

では、なぜママパパとのやりとりが自己受容を深めるのか?

生まれてから誰よりも自分のことを考えてくれるママパパだからです。

何をしていても、何を聞いても、ママパパならば、誰よりも自分のことを考え、率直かつ的確に答えてくれる、聞いてくれるからです。

そのママパパとのやりとりが、最も自己受容を深めてくれる相手だと自然と理解をしているのでしょう。

だからこそ、どんな自分でも受け入れてくれると考え、何気ないやりとりが、自然と我が子の自己受容を深めているのです。

ではなぜ、深い自己受容が必要なのか?

以前紹介した、思春期での問題である、進路や友人関係など、自分に合った最適な選択をするためです。

例えば、友人関係ですが、より深い友人関係を築くために深い自己受容状態を保つ必要があります。

前回の記事で、自己受容のメリットに「「対人スキル」を紹介しました。

自己受容が深い状態だと、自分に似た特徴を持つ友人を探すことができ、深い友人関係が築けます。

そのことから自己受容を深い状態を維持する必要があります。

実際に下記のような考察があります。

中高生は、ママパパとの交流で自己受容状態を保ちながら、深く関われる友人関係の構築という課題に取り組むものと考えられる。

渡辺伸子「日本における中学生・高校生を対象とした自己受容研究の動向」

中高生になっても、子どもとママパパのやりとりは自己受容を深めるという重要な働きがあるのです。

ママパパの愛情あるやりとりが重要

子どもの自己受容を深めるため、ママパパと子供のやりとりの内容は「愛情あるやりとり」が必要不可欠です。

信頼あるママパパから愛情あるやりとりを受けること。

これが子どもの心の安心感高め、自尊心を維持し、自己受容を深めます。

例えば、こんなやりとりはどうでしょうか?

子どもの話を聞き、肯定する

子どもを抱きしめてあげる

大切な存在であることを伝える

共働き世帯が7割以上の現在、なかなか子どもとやりとりする時間が減っています。

例えば、内閣府の調べでは、女性の「家事・育児・介護時間」は40年前に比べて、週平均で約30分減少しています。

大したことないように思えますが、30分は大きいですよね。

1回の食事に30分もかからないと思います。それ以上の時間のやり取りが減っている可能性が高いのです。

育児時間が全てとは言えませんが、子どもと話す機会や時間が減っていること可能性が高いと考えられます。

そのことからママパパは、子どもと質の高いやりとりが求められるのです。

少しでも子どもとの話す時間、子供が話しやすい空間を創ることが、愛情あるやりとりにつながることが考えられます。

こぶお
こぶお

ママパパの力は、すごいな〜
ママパパと子どものやりとりはここまで重要なことだと思ってもいなかったよ。

子どもからしても、一番自分のことを知っているのは親だとわかっているのん。
だからこそ悩みや迷った時に、相談できるママパパがいることや機会があることは重要だのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

でも多忙なママパパが多いから、そのタイミングが難しいよね。
量より質になってしまうよ。
実際に、自己受容を深めるには具体的どのようなやりとりが良いのかな?

では、自己受容を高めた具体的なやりとりを次に紹介するのん。
実際に、高校教師が行った研究になるのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

自分への気づきと見つめ直し

次に挙げるのは「自分への気づきと見つめ直し」による自己受容の深める方法です。

実際、この方法は高校教師が、悩みを持つ生徒に対して行った援助方法になります。

結果としては、生徒の考えを引き出しつつ、自己受容を深めることができたという報告がされています。

親の立場からすると、知っていても損は無いと考え、援助のプロセスを紹介をします。

この方法は大きく2つの段階があります。

  1. 自分に気付くこと
  2. 自分を見つめ直すこと

この2段階で構成されています。

各概要は下記の図の通りです。

伊東由香理「学校不適応生徒の自己受容を図る指導・援助に関する研究」

自分に気づく

まず最初の段階「自分に気付く」ことです。

自分に気付く、とは?

筆者はこのように記載をしています。

生徒に自分の課題を焦点化させて自分の現状と向き合えるようにする。

そして、課題が解決しているときの未来を描かせる。

描けたら、なりたい自分を明確にする。

なりたい自分という目標を持つことは、そこに到達するための思いを強め、自分は何をすれば良いのかという行動の道筋を明らかにしてくれる

伊東由香理「学校不適応生徒の自己受容を図る指導・援助に関する研究」

少し難しいですね。

要は「自分の考えを整理して、自分はどうしたいのか?」を理解することが目的です。

自己受容は、「今の不完全な自分を価値がある自分と捉え、一生懸命生きていく生き様」です。

この「自分に気付く」は、「不完全な自分とは一体どんな自分なのか?そしてそれを価値があると捉える」という段階です。

筆者はこの段階で下記のフレームワークを作成していますので、紹介します。

伊東由香理「学校不適応生徒の自己受容を図る指導・援助に関する研究」

この援助をする大前提は、「子どもと、腹を割って話ができる信頼関係があること」になります。

要は、相手の話しやすい関係であること、否定をせず肯定すること、導くことはせずに目の前の我が子の考えに沿って会話を進めることになります。

思春期真っ只中で、こんな関係になるのは現実難しいと思います。

なので、子どもがもっと小さい時からやることがポイントだと思います。

上記のフレームワークを全てとは言いませんが、子どもの時から、自分の気持ちを「理解する」「整理する」「どうするか?」を考えるとそれが習慣化されると思います。

実際に、我が子6歳もこれを共に実践しています。

話外れましたが、これにより子どもの「今の自分」と「どうなれば良いか?」を整理することができます。

これができれば、次のステップに進みます。

自分を見つめ直す

次のステップでは、前のステップで整理した「どうなれば良いか?」に対して行動していくステップになります。

具体的にいうと、行動した自分を振り返りつつ、肯定をし、次の行動をどうすべきか?を引き出すことになります。

このステップもあくまで主役は我が子で、ママパパはサポート役です。

こちらもフレームワークがありましたので紹介をしておきます。

伊東由香理「学校不適応生徒の自己受容を図る指導・援助に関する研究」

ここでママパパの行動で大事なのは、「肯定をしてあげる」ことです。

自分では気づかない、できる様になったこと、努力していることを、我が子に伝えることが子どもの自己受容を深め、自己肯定感も深めることになるのです。

例えば、我が子が振り返る時「すぐ諦めてしまったのがダメだな〜」と思っていても、

ママパパから「行き詰まっていたけども、一旦離れて冷静に考えていたのかな?意外とそう言う方がいい考えが浮かぶよね?」

など言われると、子どもは「そういう考えもあったのか。」と別の視点を、子供に芽生えさせることができます。

結果として「もう一度やってみよう。」となればベストな流れですね。

このやりとりが自己受容/他者受容を深め、自己肯定感も深められる流れになります。

以前の記事で述べたように自己肯定感を深めるためには、自己理解/自己受容/他者理解/他者受容が必要な要素になります。

ここでは3要素が登場し、子どもの各要素を深めていると考えられます。

フレームワークのように詳細までやるべきかはわかりませんが、大切なのは下記の点です。

  1. 今の自分の考え、行動を整理すること
  2. なりたい自分に向かって行動すること
  3. 行動を振り返り、それを肯定すること

この「自分に気づく」「自分を見つめ直す」を行うことにより、自分を肯定的に受け入れやすくなり、自己受容が深めた生徒になったと筆者を記載しています。

こぶお
こぶお

なるほど、今の自分を整理して、行動し、振り返る。
大事なことですね。

何度も言うけど、これは親子の信頼関係ができていることが前提だのん。
そしてママパパも自己受容ができていることが大事だのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

ママパパも自己受容ができているか?

ここまでは子どもの自己受容の話でしたが、ママパパの自己受容が深いことは、子どもの自己受容を深めることにつながる可能性が示唆されいます。

そのためママパパの心構えとして下記の点が、文献にて紹介をされていました。

  • 気持ちに余裕を持つこと
  • 人によって個性は異なり、それを認め合うこと
  • 自分が信頼すれば、子どもは信頼してくれること
  • 自分の目線だけで決めつけないこと、比較しないこと
  • 自分自身の行動、言動、感情を振り返ること

色々書いてありますが、要は「人それぞれの個性を認めつつ、自分自身も個性があることを理解する」だと考えいます。

人には様々な考え、感情、行動があり、違って当たり前です。

他人から見れば、自分もその1つです。

だからこそ自分の個性を受け入れており、その個性を持って今まで生きてきたのです。

そんなママパパがそばにいれば、子どもにもその考えに影響を受けるでしょう。

これが子どもの自己受容を深めることにつながると考えられます。

こぶお
こぶお

ママパパの自己受容が深いことも重要なんだね。
確かにママパパもそれが理解できていないと、子どもを導くことはできないもんね。
他に、具体的なやりとり方法はあるの?

あるのん。
それを紹介するのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

子どもとのやりとり

ここではママパパが子どもとやりとりを行う際の、2つの考え方を紹介します。

共感の視点

共感の視点とは、子どもの目線に立って、考えることです。

子どもが「どのように感じ、どのように考え、行動したのか」を理解することになります

これにより子どもの表面的な部分だけでなく、子どもの考え方や行動した理由など深い部分を理解することができます。

これは子どもにとってもその行動や考えを振り返ることが、自己理解にもつながります。

そして、それを受け入れる自己受容、ママパパから意見をもらうことによる他者受容などにもつながり、結果として自己肯定感を深めることになります。

今回紹介した「自分に気づく」「見つめ直す」の簡易版のようなイメージです。

評価の視点

評価の視点とは、子どもが「この世の中を生きていく上で、必要な力を身につけているのか」を考えることです。

基本的には、前述した「共感」と「評価」は、行ったり来たりの関係です。

例えば、テストの点数が悪かった、という事例があったとしましょう。

表面的には、「点数が悪かった、勉強をしていない結果だ。」という評価になると思います。

ただ詳細を聞くと、最初の1問目に時間がかかってしまい、後の問題を解く時間が無かったことがわかりました。

その場合、「全体を見渡す力が足りない一方で、諦めずにやり抜く力がある」と評価ができます。

さらに詳しく聞くと、「最初の1問目は、以前パパに教えてもらった問題に似ており、間違えないようにと言われていた。」ということがわかりました。

その場合、「言われたことを共感する力を持つ一方で、クリティカルシンキングが足りていない」という評価ができます。

このように共感と評価の考えを持ちながら、子どもと接することで、子どもの自己理解と自己受容が進む可能性があるのです。

「ありがとう」という言葉

ありがとう」と言われると、誰もが嬉しいのではないでしょうか。

「ありがとう。」と言われた行動や考えに対して、「自分は正しかったんだ。」と自己受容の感覚が生まれます。

この魔法の言葉を、子どもに伝えてください。

前述のテストの事例を例に取ります。

「パパとの約束を守って、粘り強くやり抜いてくれてありがとう。

 ただパパの教え方が悪かったから、テストの点数がもう一歩だったね。なぜこうなったのか、考えてみよう。」という感じです。

子どもの良い面に「ありがとう。」を伝えることで自己受容、自己肯定感が深まります。

その後、直してもらいたい点を子どもから引き出す(振り返る)イメージです。

これが自己理解と自己受容につながります。

ぜひ、お試しください。

我が家の場合

我が家の場合は、ノートの紹介になります。

以前紹介した子どもに渡しているノートです。

ここには年初に立てた目標や恐竜の絵や生態など興味のあることを書いたりしています。

また実際に行動した自分の良かったこと、悪かったことも書いています。

例えば、公文ができた時「なぜこんな集中してできたのか?」を二人で振り返ります。

最近、振り返った時の行き着いた答えは「できると思ってやったから」でした。

5歳児の割に、良くそこまで考えたな、と感心しました。

以前は心理的な面ではなく、「朝早く起きたから」や「簡単な問題だったから」など自分の外側の事象でした。

また公文をするのにとても時間がかかってしまった際、「なぜこんなに時間がかかってしまったのか?」も振り返ります。

「遊んでしまったから」「難しかったから」「集中できなかったから」など様々な要因が挙げられます。

実際のところ、振り返ることで毎日が公文が集中してできるというわけではないです。

ただ、長男くんは「集中できる」コツを掴んで、集中できる日が多くなってきており、毎日公文をこなしております。

集中できない時は、ノートを振り返り、「一緒に頑張ろう!」となります。

ぜひ、お試しを。

こぶお
こぶお

やっぱりママパパとのやりとりというのはとても重要なんだね。
そのためにもなるべく話しやすい環境や機会というのが必要なんだね。
ただ世界のママパパは既にやっていそうだけどな〜

いつも言うけど、「知らないでやるより、理解して意識してやる」方が質も高く、継続的だのん。

こぶお
こぶお

(やばっ、怒ってる。)
そうだよね、いつも博士がそれを言っているもんね。
ところで自己肯定感を深めるという残りの「他者理解」と「他者受容」について教えてください!

(でた、質問攻め。もう疲れた。。。)
そろそろ残りの仕事もあるので、またにするのん。
それでは、さよなら〜

こぶお
こぶお

(あ〜また強引に行ってしまった。)
また教えてね〜、バ〜イバ〜イ

まとめ

  • ママパパと子どもの愛情あるやりとりが自己受容を深めること
  • 自分への気づきと、見つめ直しの機会が自己受容を深めること
  • 共感と評価の視点でやりとりし、「ありがとう」を伝えること

いかがでしたでしょうか。

今回は自己受容を深める方法を勉強しました。

自己受容は今の良い部分と悪い部分のある不完全な自分を認めつつ、前に進む生き様です。

この考えが深いほど、自分に合った友人を作り、自分に合った人生の選択を行うできる可能性が高くなります。

ぜひ、我が子に深めて欲しいスキルの1つですね。

ティラノ博士が言うように、「知らないでやるよりも、理解して意識してやる」では、だいぶ行動も継続力も変わるのではないでしょうか?

この記事によって少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。

それじゃ、Have a nice day!

【参考資料】

藤川順子・大本久美子「高校生の自己受容・他者受容と親との関わりの 関連」

渋谷郁子・伊藤裕子「中学生の自己開示」

伊勢谷凡子「高校生の集団へのかかわり方と自己受容との県連についての研究」

渡辺伸子「日本における中学生・高校生を対象とした自己受容研究の動向」

伊東由香理「学校不適応生徒の自己受容を図る指導・援助に関する研究」

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