我が子の自己肯定感は高いのか?低いのか? 自己肯定感は子供の成長の原動力となります。この記事によって、我が子の自己肯定感がどのくらいなのか?を把握する方法を検討したいと思います。把握することは、ママパパの教育方針に明確な指針を与えてくれます。それでは共に学んでいきましょう!
こんにちは!
こんにちは!
今日はどうしたのん?
前回、自己肯定感と固定観念について教えてもらったけども、
結局どのように自己肯定感を高めればいいの?
その前に、現状把握が大事のん。
その子は一体、自己肯定感がどのくらいあるのか?ということだのん。
これが分かれば、ママパパも「我が子とどう接するべきか?」が理解できるのん。
では、始めるのん!
目次
自己肯定感
乳幼児から形成
私が調べた限りでは、乳児から自己肯定感の形成が始まる、と報告されています。
乳幼児期に、親しい大人から肯定的に受容され、自分は愛されているという感覚をしっかり味わうこと。
これが赤ちゃんや幼児の自己肯定感を育む最初の一歩になります。
これは以前紹介した「空間認知能力」に繋がります。
4ヶ月ごろに赤ちゃんの首がすわることで、視点を調整するようになります。
その際、赤ちゃんは興味のあるものをジッと見つめ、「手が届くか?」を考え、リーチングを行います。
この過程が、空間認知能力が形成されます。
例えば、我が子が赤い積み木やカラフルなガラガラが取れたら、ママパパはどう反応するでしょうか?
「すごいね〜!」「自分で掴めたね〜!」など、ママパパは満面の笑みで赤ちゃんを撫でたり、抱きしめたりするのではないでしょうか?
赤ちゃんは大好きなママパパの笑顔や触れ合いにより、快感を覚え、また同じことを繰り返します。
すると、さらに離れたおもちゃを見つけ、取ろうと挑戦するようになるのです。
この一連の流れが自己肯定感の形成と拡大になります。
その間には、自己肯定感だけではなく、少なくとも下記の成長も併発して起こります。
- 空間認知能力:対象物が触れる距離かどうかを見分けること
- 運動機能:ずり這いで対象物までたどり着けること
- 発声:声を出してママパパの注意を引くこと
何が言いたいかと言うと、自己肯定感が形成されると、自己肯定感の拡張とともに、その他の能力も成長するというわけです。
ママパパからの愛情ある言葉、やりとりが赤ちゃんの成長を促すのです。
話が長くなりましたが、私の調べた限りでは、少なくとも乳児から自己肯定感の形成が始まります。
自己肯定感は高まり続けるのか
では、この自己肯定感は形成と拡張をし続けるのか?
実は10歳前後をピークに下がり始める、との研究結果があります。
久芳 美恵子「小、中、高校生の自己肯定感に関する研究」
上記の棒グラフは小学4年生〜高校3年生までの男女約5,000人を対象にした研究になります。
結果として、小学4年生をピークに下がり続け、高校生になるとプラトーになっていることがわかりました。
下降する要因として下記の点が考察としてありました。
- 男子の要因:思春期に入り、現実の自分の姿を理想の姿とのギャップに徐々に直面する
- 女子の要因:思春期、進路選択による自己効力感の変化、自身の性受容
(性受容:自分の性別を受け入れること。過去の研究では、男子よりも女子の方が思春期以降に性受容が低下すると言う結果が出ています。)
このように幼少期とは比べ、身近に比較対象の友人や同級生が増えることや能力の数値化が行われること(テストの点など)で自己肯定感が下がる要因になる可能性があります。
また、人生を決めるような進路選択や性に関する考えなど世界観が広がることで、自分自身を客観的な目で見るのがこの時期だと考えられます。
日本文化の特質
次に大学生を対象にした研究を紹介します。
この研究では国際比較を行った結果、諸外国と比較すると、日本の大学生は自己肯定感が低い、と言う結果が出ていました。
この研究では下記の考察がありました。
- 日本文化の特質(迷惑をかけるな・謙遜する・世間 体を気にする)が関係している可能性:「もっと伸びるはずだから」や「今の自分に満足をしたくないから」などの謙虚かつ向上心のある回答があった。
この日本文化の特質は大学生に限らず、中学生でも少なからずあると思われます。
そのことから、この日本文化の特質が年を重ねるごとに植え付けられ、自己肯定感を下げている要因になっている可能性があります。
それを考えると、日本文化特質である「出る杭は打たれる」のような文化とは逆に、「出る杭を褒める」の方が自己肯定感が高まる可能性があります。
この点、自己肯定感が高ければ高い方がいいのか?と言う論点になりそうですが、この点はまた次回以降紹介をします。
ちなみにこの研究での自己肯定感を下げるその他の要因として「思春期」もありました。
日本文化の特質が本当に悪いのか?良いのか?と言う点に関してはまだ回答はありません。
日本は世界でもトップレベルの経済大国ですし、優秀な人材や技術力も多く存在しています。
なので、日本文化の特質は悪いとは言い切れません。
ここでは、「国際比較では日本人の大学生は自己肯定感は低く、それは日本文化の特質が影響している。しかしそれが悪いわけではない。」と覚えておいてください。
なるほど、10歳ごろをピークにら下がってしまうんだね。
自分ではない第三者に評価をつけられ、客観的に自分を見つめる時期なんだのん。
自己肯定感の推移はこんな感じのん。
ところで、自己肯定感はどのように把握すればいいの?
それこそ数値化なんて難しいよね?
そうだのん。
実際、我が子の自己肯定感なんて100%理解するなんて無理だのん。
だけど、多くの研究者が自己肯定感を測定するためのツールを苦労して作り上げているのん。
どう自己肯定感を測るのか
では、子供自己肯定感をどう測るべきなのか?
ここでは3つの「自尊感情を測定する方法」を紹介します。
自尊感情とは自己肯定感とほぼ同じ意味になりますが、自尊感情の方が「他者の評価」を含む、広い意味になります。
自己肯定感が「ありのままの自分を受け入れて、肯定する感情」であるのに対して、自尊感情は「自分や他者の評価を根拠に、自分に抱く感情、自分は価値ある存在だと抱く感情」となります。
「自尊感情」とは、 自分のできることできないことなどすべての要素を包括した意味での「自分」を他者と
のかかわり合いを通してかけがえのない存在、価値ある存在としてとらえる気持ち
「自己肯定感」とは、 自分に対する評価を行う際に、自分のよさを肯定的に認める感情
東京都教職員研修センター「H23年 自尊感情や自己肯定感に関する研究」
日本語版RSES
1つ目は、日本語版RSESになります。
Rosenberg Self Esteem Scale;RSES
10問の質問に対して4段階で答え、合計点数から自己肯定感を測定する方法になります。
4段階の評価「1=強くそう思わない」「2=そう思わない」「3=そう思う」「4=強くそう思う」
10の質問
- 私は、自分自身にだいたい満足している。
- 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
- 私にはけっこう長所があると感じている。
- 私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
- 私には誇れるものが大してないと感じている。
- 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
- 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
- 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
- よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
- 私は、自分のことを前向きに考えている。
合計点数が20点以下であれば、「自己肯定感が低い」
合計点数が30点以上であれば、「自己肯定感が高い」
日本人平均は25点だそうです。
この日本語版RSESは、自尊感情を測定するものになります。
ちなみに、私は25点でした。日本人のちょうど平均です。
1問目の「私は、自分自身にだいたい満足している。」に関しては、「2」をつけました。
この意図は、「まだまだ自分にはやらなければならないことがあるし、そのため自分の能力は伸ばせる!」という向上心が背景にあり、「2」にしました。
上記で紹介した日本文化の特質が、私にも現れていることが自分でわかりました。
自尊感情測定尺度
もう1つ測定方法は、東京都教職員研修センターでされている「自尊感情測定尺度」です。
こちらは3つの項目に分かれており全22の質問があります。
各3項目の点数を三角形のデータチャートに反映させ、チャートによって6タイプに分けて、対象者の特徴を把握することになります。
例を下記に記します。
日本人の小学生5〜6年生133名を対象にした結果では、下記のタイプが全体の32%で最も多かったとのことです。
自尊感情の高低だけでなく、「自己評価・自己受容 」「関係の中での自己」「自己主張・自己決定 」の観点から分析や接し方を把握できるところがいいですね。
チャートの解説は下記になります。
他者評価シート
3つ目も東京都教職員研修センターの資料になります。子供またはママパパが代わりにやってみるのもいいかもしれません。
お子さんが行う場合は「自己評価シート」
ママパパが行う場合は「他者評価シート」
下記がダウンロードURLになります。
この他者評価シートの「データ入力シート」のいいところは、時系列にデータが見れることです。
本来は教員が使うものなので、クラスの子供全員の評価を一覧にするものになります。
ただこのシートを個人で使うのであれば、「1年に1回」などの期間で子供の成長を数値化して見れることになります。
子供の成長記録としてもいいですね。
実際、我が家でも、長男と次男を「他者評価シート」で自己肯定感を評価してみました。
6項目に分かれて、全24問あります。
- 人への働き掛け
- 大人との関係
- 友達との関係
- 落ち着き
- 意欲
- 間に合わせた行動
この6つの項目は、下図のように「対人関係」「自己行動の制御」「社会的なルールの理解」の3つの側面を把握する目的があります。
この後どうするのか?となりますが、説明書にはA4が何ページにも渡り、難しいことが書いてあります。
シンプルにすると、下記の2点になります。
- その子の個性や傾向を把握すること
- どのように指導をするかを検討すること
「指導」に関しては、年間を通してPDCAの記載がありました。
先生たちも大変だなあ〜と言うのが感想です。
じゃあ、我が家はどうしようかなを考えたので下記に記載をします。
長男くんの場合
2.大人との関係、5.意欲がMAXでした。
「2.大人との関係」に関しては、下記にような事例がよく見られる傾向がありました。
- 自分から家族や教員に、話し掛けたり、遊んだりしている。
- 担任や保護者など特定の大人が近くにいることで、落ち着いて取り組んでいる。
「5.意欲」に関しては、下記にような事例がよく見られる傾向がありました。
- 新しい学習や活動などに取り組み、できた時は笑顔になったり、嬉しそうな表情になる。
- 褒められることで、自分から次の課題に取り組もうとしている。
一方で、1.人への働き掛け、3.友達との関係が少しレーダーチャートでは低い傾向でした。
- やりたいことがある場合、表情や身振り手振りで表現している。
- クラスの前に出て活動に参加はそこまでしているようではない。
- 仲の良い友達とは、積極的に話したり、遊んでいる様子である。
- 関係が少ない友達とは、話や遊びをしていない様子、名前を知らない。
私自身、息子たちの幼稚園にはよく送り迎えをしております。
なので息子たちの仲の良い友達とは顔馴染みで、よく話をしております。
参観なども通して、上記のような評価をしました。
少し親バカな感じをしましたが・・・・。
話は脱線しましたが、私は長男くんを下記のような傾向や個性があると判断しました。
- 大人への話しかけは、褒められたい「承認欲求」と、何をしているのかという「好奇心」が源になっている。
- 初めてやること、初対面の子に対して、恥ずかしい感情があり、居心地の良い場所や仲間を好む傾向がある。
- 一方で、ママや私の補助があれば、新しいことへ「挑戦」したり、決めたことは「やり続ける」傾向がある。
ここからはパパママの教育方針によってどうするか?が異なると思います。
我が家(少なくとも私)は「GRIT」「思いやり」「計画性」を持った大人になって欲しいと考えています。
なので、居心地の良い部分(家庭、友達)は残しつつ、新たなことへ挑戦と自分で決めたことをやり抜くことへの補助をしていきたいと思っています。
以上、わが我が家での他者評価シートの実例でした。
上記を行った感想ですが、「もっと子供のことを知るべきだ」と思いました。
いつものように朝起きて、幼稚園に送り、帰ってきたら寝るというルーティンでは、子供が先生や友達とどう過ごしているのか?どんな考えで行動しているのか?など限界があります。
そうなると、参観やイベントごとに一緒に参加したいと思いました。
早速、幼稚園の夏祭りイベントのボランティアに長男くんと参加しようと、応募をしました。
なるほど、結構色々なツールがあるね。
幼稚園ぐらいだとママパパができる他者評価シートがいいね。
現状を把握することは大事のん。
「現状を知らないで闇雲に自己肯定感を高める」よりも「現状を知って意識してやる」は全然違うのん。
なるほどね。結局ママパパがどう育って欲しいか、が大事な気がするね。
ここまでで現状を把握して、どう育てていくかの指針がわかったね。
で、この後はどう自己肯定感を育てるか?だけど、そこを教えてよ。
(これ以上付き合ったら、今日のタスクが終わらないのん。)
それについてはたまには自分で考えてみよう、宿題ね。
じゃ。
え〜、宿題!?
ん〜なんだろ。褒め続けることなのか・・・。
じゃ〜またね〜
まとめ
- 自己肯定感は、生後4ヶ月ごろからママやパパの言葉で、形成し始めること
- 自己肯定感は、10歳ごろでピークを迎え、思春期などの要因で下がること
- 自己肯定感は、ツールにより測定ができ、ママパパの教育指針が決まること
いかがでしたでしょうか?
今回は自己肯定感がいつから何で形成され、どのような推移を辿り、どう測定するのかを検討しました。
自己肯定感は、ママパパの言葉ややりとりで形成をし始めます。(身近にいる大人も含みます)
自己肯定感は10歳ごろで下がり始めますが、それまでに培った「ありのままの自分を受け入れる」感覚を身につけてほしいと個人的には思います。
我が子が壁にぶち当たった時、「今現在の自分」を受け入れつつ、壁を乗り越えるための成長の機会として前向きに捉え取り組んでほしいからです。
これが「自己肯定感が高い」という状況ではないでしょうか。
次回は、自己肯定感をどのように高めるのか?を実際の研究を踏まえながら、学んでいきたいと思います。
ティラノ博士が言うように、「知らないでやるよりも、知っていて意識してやる」では、だいぶ行動も変わるのではないでしょうか?
この記事によって少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。
未来ある子供たちのためにも、共に学んでいきましょう!
それじゃ、Have a nice day!
【参考資料】
汐見 稔幸 「子どもはみんな「よさ」をもっている」
中井 美希 「幼児期における自尊感情の発達」
内閣府 「特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」
久芳 美恵子「小、中、高校生の自己肯定感に関する研究」
内田 知宏「Rosenberg自尊感情尺度の信頼性及び妥当性の検討」
東京都教職員研修センター「H23年度 自尊感情や自己肯定感に関する研究(第4年次)」
*注意:文中には、筆者の意見も入っており、全てが根拠があって正しいわけではありません。