今回は自己肯定感について勉強をしていきます。子供の自己肯定感を持つことは大事だと聞いたことは多いと思います。しかしなぜ大事なのか?を理解している方はどのくらいいるでしょうか。この記事では自己肯定感とは対象的な言葉である固定観念を学び、子供の自己肯定感の大切さを理解していきます。それでは、共に学んでいきましょう!
こんにちは、ティラノ博士!
こんにちわ、こぶおくん。
いつも来てくれて、こぶおくんは本当に勉強熱心だのん。
(珍しく褒めてくれる、怖い・・)
あ、ありがとうございます。妹のためです!
妹のために、偉いのん。
というのは、ここまでにして、今のは努力の過程を褒めて自己肯定感を伸ばす方法だのん。
自己肯定感ですか、聞いたことはあります。
この感覚があった方が良いと聞きますが、何が良いんでしょうか?
自己肯定感があると良いうのはわかっているのん。
ただ、なぜ?、どんなふうに身につけさせてば良いのか?という点はわかっていないのん。
今日はその点について詳しく教えてください!
目次
自己肯定感とは?
そもそも自己肯定感とはなんでしょうか?
「ありのままの自分を肯定する感覚」
「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」と言われています。
この感覚があると、どんな特徴があるんでしょうか。
- 主体性があること
- 言動/行動が前向きであること
- 失敗を恐れずに、挑戦すること
- レジリエンスが高いこと(レジリエンスは、失敗から立ち直る「回復力」のこと)
上記に一般的な自分に対しての効果を記載してありますが、他人に対してはどうでしょうか。
自己肯定感の文字を見ると、他人と比べて自分が優位である的な考えになりそうですが、そうではありません。
自己肯定感を持っていると他人に対しても、相手の長所などに目を向けて、相手の考えや意思を素直に受け入れて尊重するという感覚を持つと言われています。
ではこのような感覚があるとどんなメリットがあるのでしょうか。
- 仕事、学校などの社会活動に情熱を持って、粘り強く取り組むことができること
- 他者と深い信頼関係を構築できること
- 他者や他のグループに影響を与えられることができること
- 他人に協力的になれること
このように社会活動に必要な要素が多くあるのです。
一方で、自己肯定感が低い人はどんな特徴があるか。
- 他者と自分を比較してしまう。
- 承認欲求が強く、他者に依存してしまう。
- 失敗を恐れて、挑戦ができない。
- 反対意見を受け入れられない。
自分への自信が無いことから、他者を見てしまう。失敗した不完全な自分が怖くて、挑戦ができない傾向にあります。
また自分のことが認められないため、他者からの承認を求める傾向が強いです。
そして自身への不完全な部分への意見、例えば改善を求めるような意見を受け入れられない傾向にあります。
自己肯定感の強い人は、自身の不完全な部分を含めて、自分自身を認めています。
他者から改善を求められる意見をもらっても、自覚しているので、それを受け入れ、柔軟に対応をしていくのです。
ママパパの言葉が、子供の固定観念を創る
このような自己肯定感とは反対の意味として、固定観念という言葉があります。
この固定観念について、アメリカでの研究がありますので紹介をします。
一昔前まで、アメリカでは「女性は数学が苦手」「女性は数学ができない。」という、今では考えられない固定観念が常識としてありました。
実際に、その頃の科学やテクノロジー、エンジニアリング、数学の分野では、女性の専門家が育っていない状況でした。
卵が先か?ニワトリが先か?となりそうなところですが、これも幼少期の言葉の数が関連している可能性が示唆される研究がありました。
研究では、その当時の2歳以下の赤ちゃんを持つママから聞く数字がどのくらいあるかを、女の子と男の子に分けて分析をしました。
結果は予想通り、男の子は女の子に比べて、ママからの数の言葉が半分以下、基数に関しては1/3以下だったのです。
研究者は、ママの言葉が子供の固定観念を創り上げると考察しています。
女の子が数学に興味を持っても、周囲の励ましや機会が少ないことでやる気を無くして、諦めてしまうのです。
固定観念は7歳くらいから観察される、と言われています。
固定観念があると、もし我が子が「やりたい!」と思っても「自分には難しいだろう。」と諦めてしまうことになります。
例えば、「私は算数が苦手」と思っている女の子がいるとすると、「勉強をしなさい!」と言われても、「自分には難しい」「やってもどうせできないはず」という自分自身に向かって反論や言い訳をしてしまいます。
それだけでも精神的に体力を使いますし、機会の損失にもなります。
もしかしたらその女の子は、テクノロジーや数学の分野で活躍できる可能性を秘めているかもしれないのに。
自分自身をどう見るか、という自己像(自己イメージ)に言葉が影響するように、
言葉はスキルにも影響する。
ダナ・サスキンド
ママパパの固定観念が子供にも影響があるんだね。
これは大人全体に言えることなの? それともパママだけ?
実は、大人全体に言えることなんだよ。
例えば、小学校の先生の固定観念がどう生徒に影響を与えるかを観察した研究があるので、紹介するのん。
小学校担任の固定観念の影響
大人の固定観念が子供に与える影響として、もう1つの研究を紹介します。
Sian Beilock博士(シアン・バイロック博士 前シカゴ大学心理学部教授)の研究になります。
アメリカの小学校担任の固定観念が、男子生徒と女子生徒に対して、算数の能力にどのような影響を与えるのか?という研究を1年間行いました。
当時のアメリカの小学校担任は女性が90%でしたが、その内数学を専攻している先生はたった10%しかいませんでした。
一昔前のアメリカ人の「女性は算数・数学ができない」という固定概念があった時代だからです。
研究の対象は、小学1年生と2年生の担任17人とその生徒になります。
学年度の始まりと終わりに、担任の数学への不安を測り、クラスの生徒の算数への能力をは測定し、比較をした研究になります。
年度の始まった段階では、生徒の算数の成績と担任の数学への不安は無関係でした。
しかし年度終わりの測定結果では、担任の数学への不安レベルは、女子生徒の算数の能力に影響を与えていました。
具体的には、数学に対して不安が多い担任が受け持つ女子生徒は、男子生徒に比べると算数のテストが悪かった。
この女子生徒は、算数が得意な子の話をする時は、男子生徒の名前を多く出していました。
一方、本を読むのが得意な子の話をする時は、女子生徒の名前を多く出していました。
たった1年間で、生徒達には「女性は算数/数学が苦手、できない」という固定概念が創られてしまった可能性が高いのです。
一方で、数学の不安の無い担任のクラスの女子生徒は、上記のような男女差はなく、算数のテストも男女に差はなかったとの報告でした。
何が言いたいのかというと、ママパパに限らず、大人達の固定観念は0ベースの子供達に伝染するということです。
大人達の単なる固定観念(単なる思い込み)が、子供にも簡単に移ってしまうのです。
無限の可能性がある子供達の成長するチャンスを、無惨にも無くしてしまうのです。
現在のアメリカの状況
この話には続きがあります。
現在のアメリカでは、数学やエンジニアなどの分野で女性の専門家が多くいます。
これは、「女性は算数/数学が苦手、できない」という固定観念が無くなっていることが要因の1つとして挙げられています。
家庭でも学校でも、大人達の固定観念に変化があり、むしろ「自己肯定感を上げるアプローチが子供の成長に必要だ」という考え方に変化した可能性があります。
ほえ〜
学校の先生でも「女性は算数が苦手」という固定観念がある時代があったとは恐ろしいですね。
本当だのん。
大人の固定観念は子供の機会を奪うことになるのん。
これほど恐ろしいことはないのん。
日本では、「女性は算数が苦手」などの固定観念はあるのでしょうか?
実は、少し怖いデータがあるのん。
これは内閣府の男女共同参画局がまとめたデータだのん。
各分野の女子学生が占める割合だのん。
文系や看護、教育が多い一方で、理工系が少ないですね。
あ、アメリカと同じ傾向じゃないですか。
同じ傾向なんだのん。
他にもデータがあるので、日本の現状を紹介するのん。
日本の女性の理系に関するデータ
ティラノ博士が紹介したデータに通り、日本では理工系を専攻する女性の割合が少ない傾向にあります。
ただし、女性の研究者の数はH30年時点では過去最高の15万人で、全体の16.2%とされております。
H4年では、4.9万人で全体の占める女性の割合は7.9%でしたので、女性の研究者が増えていることがわかります。
しかし国際比較をすると、アメリカ(33%)の半分以下でした。
結局、女性の研究者は増えてはいるが、世界には全然追いつけていないことがわかります。
米国や他の国より、日本の女性の数学の能力が低いのか?
そうではありません。OECDで比較をすると、日本の女性の数学/科学の点数は平均以上であることがわかります。
では、なぜ知識があるのに理工系の専門家が増えないのか?
この調査で興味深いのは、既に小学生で理工系科目に対する気持ちの面で、男女差が生じていることがわかりました。
しかもその差は、中学に上がるとさらに左が開いていたことがわかります。
他のデータですが、中高の女子生徒は男子生徒に比べて数学への関心や価値が低いことがわかっており、それがテストの成績の低さに関連していることが示されています。
なぜ女子生徒は、理工系への意識が薄くなるのか?
内閣府の男女共同参画局の結論は「環境」が影響していると考察をしています。
環境の1つとして挙げられるのは、ロールモデルが近くにいないこと。
具体的には、理系の教師は男性が多いことが考えられます。
生徒達からすると、「算数や理解の先生は男が多く、文系は女子が多い」と身近なロールモデルから固定観念が作られてしまう可能性がありました。
そしてもう1つは環境は「親」です。
働く上でイメージや進路の選択において影響を受けたものについて、各年齢層のデータが提示されていました。
どの年齢でも、男女ともに親の影響が高いことがわかります。
また、子供たちの学習意欲や強化に対する態度に、教師や親が影響を及ぼしているということを示唆した日本の研究があります。
日本の男女中学生を対象とし、生徒が教師や親の期待をどのように認知しているのかを検討した研究です。
中学1、2年生を対象に、下記の質問をしました。
「先生は、私が理科でよい成績をとれると期待している」と思うかどうかを尋ねたところ、両学年とも男女ともに教師からの肯定的な期待を感じている生徒は少なかったが,女子生徒は男子生徒以上に期待を感じていないこと、が報告されていました。
また、理科が好きな女子生徒は、嫌いな女子生徒に比べ、「母親は理科を重要と思っている」、両親ともに「(自分が)科学・技術職についたら喜ぶ」と回答する割合が高かった。
また、生命科学分野を専攻する女子大学生が高校生の時にもっていた進学動機のうち、専門的知識を高めたいというアカデミックな進学動機は、働いてる母親をモデルとみなしたり、父親から指示を受けたり、父親から期待を強く感じたり、といったことと関連していたのです。
固定観念は、遺伝ではなく環境因子によって創られると考えられている。
特に身近な大人たちによって。
一方で、ママパパ(他の大人含む)から子供たちへの言葉や期待を掛けられることが、その子の固定観念を作らずに、可能性を開花させ、成長する機会を増やすのです。
なるほど、日本でも同じようなことが起こっているんだね。
この全ての原因がママパパや教師の影響というわけではないけど、要因なのは確かだのん。
ただここで理解してほしいのは、ママパパを含めた大人の影響で子供の固定観念が創られてしまうこと、特に否定的な言葉などのん。
女性の理工系研究員が少ないことは、成長の機会を失っている1つの事例を取り上げたに過ぎないのん。
では、自己肯定感とはいつ頃からどのようにあげればいいのでしょうか?
おそらく、その感覚があれば、成長する機会は十分にあると考えられますね。
今日は疲れたし、まだ仕事もあるので帰るのん。
またね〜じゃ。
(あ、また強引に行ってしまった。)
いろいろ教えてくれてありがと〜
また教えてね〜〜。
バイバ〜イ。
まとめ
- 自己肯定感は、ありのままの自分を受け入れること
- 固定観念は、子どもの成長機会を奪ってしまうこと
- 固定観念は、大人から子供へ、伝染してしまうこと
いかがでしたでしょうか?
今回は自己肯定感を学ぶ前に知っておきたい「固定観念」について学びました。
自己肯定感はありのままの自分を受け入れ、成長していく原動力になります。
一方、固定観念は、子供の成長の機会を奪ってしまうことが分かっています。
そのことから自己肯定感は固定観念とは反対に位置していると思われます。
次回は、適切に自己肯定感を高めるためにはどのようにすればいいのか?を考えていきましょう!
ティラノ博士が言うように、「知らないでやるよりも、知っていて意識してやる」ではだいぶ行動も変わるのではないでしょうか?
この記事によって少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。
未来ある子供たちのためにも、共に学んできましょう!
それじゃ、Have a nice day!
【参考資料】
内閣府 男女共同参画局「進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組」
森永 康子「女性は数学が苦手」
ダナ・サスキンド「3000万語の格差」
GLOBIS CAREER NOTE「自己肯定感とは?低い人の特徴と高めていく方法」
日本セルフエスティーム普及協会「自己肯定感とは?」