空間認知能力とは、飛んでくるボールを取ったり、地図を見て移動する能力のことです。皆、自然と身についている能力ですが、より伸ばすことでクリエイティブな発想やスポーツが得意になる可能性が高いです。前回は、空間認知能力について学びましたが、本日はどのように赤ちゃんとやりとりをすれば良いのか、深掘りします。これが理解できれば、ママパパは赤ちゃんとのやりとりが増えるのではないかと思います。それでは共に学んでいきましょう!
こんにちは、ティラノ博士!
妹が首がすわるようになったので、もう空間認知が始まっていると思われます!
こんにちは!おお、早速観察してみたのん。
さすが、即実践とはやるのん。
ところで前回の続きだけども、空間認知能力を伸ばすには、どのような点を意識した方がいいの?
早速、質問が来たのん。
まだわからない点は多いけども、わかる範囲で紹介していくのん。
では、始めるのん!
目次
空間認知能力(前回の復習)
まずは前回の復習から始めましょう。
- 空間認知能力は、クリエイティブな職業やスポーツ選手に活かせられること
- 空間認知能力は、生後4ヶ月ごろ(定頸)から始まり、徐々に発達すること
- 空間認知能力は、リーチングやママとパパの言葉のやりとりで伸ばせること
前回紹介した研究では、定頸(首がすわる)ができるようになってから空間認知能力が発達し始める可能性があります。
これは自身で頭を支えられることから、赤ちゃん自ら視覚を調節して、モノを見ることができるからです。
そしてモノを見ることができると、「興味のあるモノ」をジッと見て、取れるのか?取れないか?を考えます。
我々大人であれば、手を伸ばして触れるモノであれば、考えもせずに対象物を見た瞬間にわかりますよね?
ただ赤ちゃんはまだその感覚がありません。
赤ちゃんのこのタイミングで空間認知能力を磨いており、もし対象物を取れると判断すれば「リーチング」を行います。
リーチングとは、赤ちゃんが興味あるモノを触ろうとする行動になります。
このリーチングが始まると、赤ちゃんは運動機能や発声の能力が発達することにつながるのです。
リーチングを繰り返すことで、脳のシナプスがスムーズな情報回路を作り出し、空間認知能力や運動機能、発声の発達が起こるのです。
そして、そのタイミングでママとパパの言葉ややりとりがあると、さらにその発達は伸びる可能性があることがわかりました。
生後4ヶ月の赤ちゃんの五感
では、生後4ヶ月とは赤ちゃんはどのような状態なのでしょうか?
これを知ることで、4ヶ月後の赤ちゃんへのアプローチが検討できます。
視覚
最も情報を感知する感覚器が視覚です。
赤ちゃんは生後4ヶ月ごろの視力は0.05〜0.1と言われていますが、3次元でのモノを捉え始めていることがわかっています。
研究では、生後4ヶ月ごろから赤ちゃんの両目の共同運動が始まっており、これが3次元でモノを捉える「立体視能」が始まった合図とされていました。
生後4ヶ月でこの運動が始まり、5ヶ月までに急速に発達します。
そしてこの頃赤ちゃんが、ジッ〜と対象物を見るような時間(学術的には「固視持続時間」)があれば、それは3次元でモノを捉える練習をしているのです。
これが空間認知能力につながっていきます。
そして3歳頃までに視力は1.0になり、この頃に立体視が完成すると言われています。
また、生後4ヶ月の赤ちゃんには人の顔ははっきり見えないものの、ぼんやりとママやパパの顔がわかるようになってきています。
色彩に関しては、既に色彩感覚を持っています。
2〜5ヶ月の赤ちゃんを対象にした研究では、無色彩よりも色彩が好まれることが分かっています。
そして赤ちゃんの好む色は「赤」「青」という結果が出ております。
ただ赤ちゃんを対象とした実験ですので、何十色を用意して研究をしておらず、数種類の色で赤ちゃんの反応を見た研究になります。
ここでは、生後4ヶ月の赤ちゃんは色を判別でき、赤や青が好き、と覚えておくといいと思います。
聴覚
視覚と同じように、人が社会生活を営む上で重要な感覚器が聴覚です。
生後4ヶ月ごろの赤ちゃんは、ほとんどの音が聞こえています。
ママのお腹にいる時から、すでに聞こえていますので、生まれる前から発達している感覚器になります。
新生児と異なるのは「音がする方向がわかる」程度の聴力を持っています。
これは運動機能が発達してきた証拠にもなると思います。
触覚
触ることは、対象物に対して、心地よさや危険などを察知できる唯一の感覚です。
生後4ヶ月ごろの赤ちゃんは、大人よりもこの感覚が敏感になっています。
これは対象物が一体なんなのか?を知るためです。
例えば、赤ちゃんが積み木の表面を触っている光景は容易に想像できると思います。
赤ちゃんは何をしているのでしょうか。
赤ちゃんは木で作られた物体を触り、形を知り、舐めて滑らかさを知り、持って重さを知り、落としたり叩いたりして硬さを知り、「積み木とはこのようなモノなのか」と理解することができるのです。
この1つ1つの行動が、「積み木はツルツルして、軽くて、投げても壊れないんだ」と、脳に情報を伝えているわけです。
この触感(触る行動)の元となるのは、視覚情報又は聴覚情報から始まると言われています。
例えば、「おや、あそこに赤い何かがあるぞ。」や「お、なんか横で音がしたぞ。」と鈴の入った赤い積み木に注目するわけです。
この鈴の入った赤い積み木に興味を持てば、「触りたい!」と動くわけです。
これが、前回紹介したリーチングになります。
まだ4ヶ月の赤ちゃんはリーチングができていない状態だと思いますので、この状態は視覚情報が触感情報よりも優位に働いています。
ただこの頃から触る経験を積むことで、触感情報が増え、触感が発達します。
3歳頃には、手に持ったどんぐりの大きさを触るだけで判別できるまで発達することがわかっています。
嗅覚
目が十分に見えない赤ちゃんにとって、嗅覚は外的要因を判別する感覚器です。
生後4ヶ月ごろの赤ちゃんは、大人よりもこの感覚が敏感になっています。
例えば、ママの匂いやママのおっぱいの匂いなど嗅ぎ分けることができます。
また食事の匂いなどにより、匂いには「色々な匂いがある!」と嗅ぎ分けて、嗅覚が発達している段階になります。
味覚
味覚はこの頃そこまで発達していません。
おっぱいやミルクの味(甘みとうま味)しか知らないからです。
そろそろ離乳食が始まる時期に入るので、様々な食事を食べることで甘味や塩味、酸味や苦味などの情報が脳に伝えられ、感覚が発達していきます。
なるほど、生後4ヶ月の段階で赤ちゃんの視覚や聴覚が優位にある感じですね。
そうだのん。
その発達に伴って、運動機能や発声、触覚が発達するのん。
じゃあ、視覚や聴覚から情報が入るやりとりが空間認知能力を伸ばしそうですね。
現状では、そのように考えられるのん。
では、そのような赤ちゃんとのやりとりを紹介していくのん。
おもちゃを使う
まずは生後4ヶ月ごろに適したおもちゃを紹介します。
生後4ヶ月ごろに適したおもちゃ
ボール
柔らかいボールは、豊富な色、子供が好きな丸い形、柔らかい感触、ボールの中に音が出るものもあります。
視覚、触覚、聴覚が刺激されることになります。
渡してあげたり、転がしたり、投げたりしてもケガをすることは少ないと思います。
一点注意ですが、赤ちゃんの口に入るくらい大きさのボール(39mm以下は生後36ヶ月でも誤飲をする可能性があると言われています)、ちぎれる素材(スポンジ素材など)はやめましょう。
積み木
積み木は、豊富な色、様々な形、ツルツルして肌触りも良く、音が出るものもあります。
ボールとは異なる視覚、触覚、聴覚が刺激されます。
ただ寝転んだまま、積み木を持っていると落として、赤ちゃんの顔や体に当たることがあるので注意してください。
歯固め
歯固めは、豊富な色、様々な形、素材による触覚、音による聴覚の感覚が刺激されます。
他のおもちゃとは異なる形であり、赤ちゃんの興味を引く可能性があります。
ガラガラ
ガラガラは、たくさんの色や形があり、特にここで挙げる中で音が特徴的ではないでしょうか。
こちらも視覚、聴覚、触覚が刺激されます。
硬い素材だと思いますので、寝転んだ際に、落としてしまい顔や体に怪我をしように気をつけてください。
おもちゃ選びのポイント
お手入れしやすいモノを選択する。
赤ちゃんは舌でおもちゃが一体どういう触覚なのかを感じ取って、脳に記憶します。
あまり驚きはしないですね。
うちにもあるおもちゃなので、驚きはしなかったです。
そりゃそうだのん。
紹介したおもちゃは、赤ちゃんの能力に合わせて作っているのん。
(やべ、怒ってる・・・)
確かに、今さら画期的なおもちゃなんてでないですよね。
でも、赤ちゃんがどんな状態なのか、を知ることでおもちゃをどう使うべきか理解できました。
ただそれだけでは不十分だのん。
おもちゃだけでは不十分
ここまで空間認知能能力や生後4ヶ月の赤ちゃんの状態、赤ちゃんの興味を引く可能性のあるおもちゃを紹介してきました。
早速おもちゃを買い、赤ちゃんにプレゼントします。
赤ちゃんは嬉しそうに触ったり、舐めたりすると思います。
ただ、それだけでは不十分です。
冒頭の「前回の復習」にて、赤ちゃんは「興味のあるモノ」に対してジッと見たり、リーチングを行います。
興味がなければ、すぐに目線は逸らします。
何が言いたいかというと、「赤ちゃんに興味を持たせてあげること」が大事なのです。
それがママパパの役目になります。
リーチングができたら褒めてあげる、抱きしめてあげる。赤ちゃんはとても喜ぶと思います。
「きっとママもパパも喜んで褒めてくれて、抱きしめてくれるだろうな。」
だから同じおもちゃで何度もやりとりがしたがるでしょうし、少し遠くに置かれたとしても一生懸命おもちゃを取りに行くのかもしれません。
ママとパパのやりとりは、赤ちゃんの興味を持たせるきっかけになるのです。
それが空間認知能力、運動機能、発声だけでなく、これまでに紹介した語彙力や数の理解などの発達に通じてくるのです。
赤ちゃんにとって、ママパパの力は絶対に必要なのです。
なるほど。
確かに、興味がなければ何も動かないですもんね。
ママパパのやりとりは絶対必要だのん。そしてそれを継続するために背景や原理がの理解が必要だのん。
いつも言っている「知らないでやる」より「理解して意識的にやる」では全く違うのん。
確かに赤ちゃんと遊ぶ時、赤や青のものを少し手を伸ばせば届く位置において遊ぶことが増えそうです。
早速家でやってきます!ありがとうございました!
じゃ!(今日は先だぜ!)
ちょ、待つのん・・・。
(先に行ってしまった)
ばーいばーい。
まとめ
- 生後4ヶ月の赤ちゃんは、五感の内、特に視覚/聴覚から興味を感じ取っていること
- 赤や青などの明るい色で、音のでるおもちゃが、赤ちゃんの興味を湧き立たせること
- ママパパと赤ちゃんとのやりとりが、赤ちゃんの興味を持たせ、体を動かすこと
いかがでしたでしょうか。
今回は、空間認知能力が芽生える頃である、生後4ヶ月の赤ちゃんに焦点を当てて、空間認知能力を発達させることを学びました。
こぶおの言う通り、空間認知能力を効率的に発達させる新しいおもちゃや方法はないと思いますが、ママとパパとのやりとりがおもちゃの効果を最大限に引き出す要素になると考えられます。
ティラノ博士が言うように「知らないでやる」よりも「理解して意識的にやる」では、だいぶ行動も継続率も変わるのではないでしょうか?
この記事によって少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。
未来ある子供たちのためにも、共に学んでいきましょう!
それじゃ、Have a nice day!
【参考資料】
常石 秀市「感覚器の成長・発達」
内山 伊知郎「乳幼児における色彩選考と気質の関連」
たまひよ「赤ちゃんの視力は?聴力は?五感はこう育つ!」