数は我々の生活では、きってもきれない存在です。それは多くの人が同じように理解できる共通言語だからです。本日は実際の研究で報告されている内容を紹介したいと思います。これが理解できれば、ママパパは赤ちゃんとのやりとりが増えるのではないかと考えております。それでは共に学んでいきましょう!
続きを読む: ママパパの言葉が赤ちゃんの数のスキルを伸ばす②こんにちは!
前回は、赤ちゃんの数のスキルに関して教えてくれて、ありがとうございました。
こんにちは!
どういたしましてのん。
今日は、実際の赤ちゃんの数のスキルに関するデータを紹介するのん。
待ってました!
この前の紹介では、実際の効果がわからないですもんね。
なかなかクリティカルシンキングができているのん。
それでは早速、実際研究結果を紹介するのん。
目次
家庭によって「数」の言葉環境が異なる
今回は、Susan C. Levine教授(Chicago大学)の研究を紹介します。
Suzan教授らグループは、言語発達プロジェクトの中で、生後14〜30ヵ月の子供約44人とその家族を観察しました。
ママパパと赤ちゃんの間でやりとりされた言葉やジェスチャーなど、相互のやりとりを全てビデオ撮影しました。
結果は、赤ちゃんは言葉が多い環境にいると、その子の学業の成功に強く影響していました。
これは以前紹介した研究結果と同じです。
しかし今回の研究では、ママパパの言葉での「数の効果」を明らかにしました。
言葉の量と質のばらつきに影響する要因の1つとして、数に関する保護者の言葉の違いだと分かりました。
90✖️5回の観察で、数に関連する言葉を4回聞いた赤ちゃんがいた一方で、別の赤ちゃんは250回聞いていました。
1週間にすれば、合計28回聞く赤ちゃんと、1799回聞いた赤ちゃんがいたのです。
これを1年に換算すると1500対10万という違いになります。
以前紹介した記事では、言葉の総量は約700万語/年の格差があると紹介をしました。
数の差は約10万語/年の差になります。
一見、言葉の総量の差と比べると、10万語という差はそこまで大きなものでないかもしれません。
ただ、ここでは差というよりも、「数に関する言葉を1年に1500語しか聞いていない。」という点に注目です。
1日4回して聞いていないのです。
10万語ですか!?
多いのか、少ないのかよく分からない規模ですね。
そうだのん、何が適度な量なのか分からないのん。
ここでは「家族間で数に関する言葉の量に差があった」という点を押さえて欲しいのん。
この研究に続きがあるので、それを紹介するのん。
「数」の言葉環境が数のスキルに与える影響
Susan教授達は、赤ちゃん達のその後の算数スキルと相関するかも調べました。
4歳になる前の子供に、異なる個数の丸が書かれたカードを2枚見せます。
研究者が数を伝え、その数と同じ個数の丸が書かれたカードを指すように子供達に質問をし、それが合っているかどうか集計しました。
結果、数に関する言葉をたくさん聞いていた子供ほど、正解していました。
数に関する言葉を聞いていた子供ほど、聞く数がずっと少なかった子供よりも数の原理の理解が進んでおり、ここでもママパパの話し言葉の力が裏付けられました。
4歳で既に差があるんだね。
そうなんだのん。
これは驚きだのん。
前回、6歳までの数のスキルが15歳のスキルと相関していた、と言っていたけど・・・
その通りだのん。
この研究結果から考えると、赤ちゃんの頃のママパパの「数」の言葉の多さが、15歳時の数のスキルに影響することになるのん。
衝撃ですね。
ママパパは、赤ちゃんの頃から足し算や引き算をやらせてあげよう、と焦りそうですね。
そこまで必要ないのん。
その点を紹介していくのん。
赤ちゃんの頃から高度な数のスキルが必要なの?
上記の研究結果から、「早く赤ちゃんに数の教育を始めないと!?」と焦りを感じるかもしれませんが、足し算や引き算などの高度な算数スキルは赤ちゃんには必要ありません。
あくまで、3歳ごろまでの数に関する言葉が多い家庭環境が4歳時の数のスキルに良い影響を与えたという結果で、何が良いといのかというと、「ママパパの言葉に数に関連する言葉を含めましょうね!」という解釈になり、高度な算数スキルは求めていません。
またこぶおの言っている「6歳までの数のスキルが15歳時の数のスキルに影響を与える」という研究結果から基づくと、6歳までですので、赤ちゃんに限らず、幼稚園卒業まで猶予があることがわかります。
では実際に、日本ではどのような方針になっているか見てみましょう。
日本の保育所保育指針と幼稚園教育要領には、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿として、次の10項目が挙げられています。
保育所保育指針 幼稚園教育要領
- 健康な心と体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活と関わり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 量・図形、文字等への関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
ここで数に関わる項目は、「8. 量・図形、文字等への関心・感覚」です。
なんとなくわかりますが、具体的には下記の通りです。
・生活や遊びを通じて、自分たちに関係の深い数量、長短、広さや速さ、図形の特徴などに関心をもち、必要感をもって数えたり、比べたり、組み合わせたりする。
文部科学省
・文字や様々な標識が、生活や遊びの中で人と人をつなぐコミュニケーションの役割をもつことに気付き、読んだり、書いたり、使ったりする。
なんとなくわかる気がしますね。
数を数えたり、他の数と比べて大きいか・小さいかを理解できることができれば良いのです。
例えば、4歳児ではこのくらいの数の理解ができていればいいとの実例がありました。
給食の配膳係の際に、先生から「イチゴは1人2個配ってね。」と言われて、「1個、2個」と数えて他の子に配れる状態です。
更には、クラスの子が10人おり、イチゴが8個余った場合、「クラスのみんなにさらに1つずつ(計3つ)のイチゴを、配れるか?配れないか?」が判断できるようになればいいとのことでした。
このことからわかるようにそこまで高度なスキルを求めていません。
このくらいなら幼稚園や保育園で役割を任せられてできそうだね。
そうだのん。
ただ幼稚園や保育園に任せるだけではいけないのん。
赤ちゃんの頃のやりとりがベースにあって、幼稚園や保育園の数を使う機会がそのスキルを伸ばすのん。
え、そうなの?
子供は、興味・関心のあることを、考え、やってみる、そして新たな気づきを得られるのん。
その繰り返しでその子の能力は開発されるのん。それが幼稚園や保育園だのん。
ただ、そのベースを作っているのは、ママパパの言葉だのん。
確かに。
赤ちゃんのころから、言葉のやり取りの中で、数字を意識することが大切ですね。
その通りだのん。
知らないでやるよりも、理解して意識してやる、のでは違うのん。
次回は、数に関連した空間認知に関する研究を紹介するのん。
じゃ。
(あ、いつも通り強引な別れだ)
今日もありがとうございました。
また次も教えてください!
早速、妹と遊んでこよう!
まとめ
- 赤ちゃんの数に関する言葉環境は、4歳児の数のスキルに影響すること
- 日本では、小学校入学までに高度な数のスキルは求められていないこと
- ママパパの数に関する言葉環境が、赤ちゃんの数のスキルを伸ばすこと
いかがでしたでしょうか?
今回は、赤ちゃんの「数のスキル」に関して、ママパパの言葉環境が影響していることを学びました。
数の言葉を意識するのも大事ですが、最も大事なことは赤ちゃんと愛情を持ってやり取りを行い、その中で数に関するやり取りを取り入れていくことです。
ママパパの言葉は、赤ちゃんの数のスキルだけでなく、読み書きや共感力などもを鍛えることができます。
ティラノ博士が言うように「知らないでやるよりも、知っていて意識してやる」ではだいぶ行動も変わるのではないでしょうか?
この記事によって少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。
未来ある子供たちのためにも、共に学んでいきましょう!
それじゃ、Have a nice day!
【参考資料】
文部科学省「幼稚園教育要領」
保育士バンク「「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは。子どもの姿につなげる保育の実践事例」
ダナ・サスキント「3000万語の格差」