数は我々の生活では切っても切れない存在です。それは多くの人が同じように理解ができる共通言語だからです。ではその数のスキルはどう伸びるのか。その点を今日を深掘りします。これが理解できれば、ママパパは赤ちゃんと数字でのやり取りが増えるのではないかと思います。それでは共に学んでいきましょう!
こんにちは、こぶおくん。
そんな難しそうな顔をしてどうしたの?
こんにちは!
算数の宿題をやっているんだけど、難しくて・・・。
算数は大変だけど、中学・高校と成績に関わるからしっかりやるのん。
ちなみに、赤ちゃんは生後2日目で数合わせもするそうだよ。
え、そんな早く数字の感覚があるの?
ちょっとその辺、教えてもらってもいいですか?
目次
6歳時の数のスキルは、15歳のスキルに影響を与える
Greg Duncan教授(カルフォルニア大学)の研究結果を紹介します。
小学校に上がる前の6歳時点ので数のスキルは、小学校3年時の数スキルと言語スキルに相関することがわかりました。
さらには15歳時の数のスキルにも相関していることもわかりました。
このことから、6歳までに数のスキルを上げておけば、その後の数のスキルが伸びやすくなる、ということになります。
3歳終わりまでの言語環境が赤ちゃんの発達に大きな影響を与える、と以前の記事で学びましたが、数のスキルは6歳までの能力がその後のスキルに影響を与えることになります。
何が言いたいかというと、言語環境が6歳までの数のスキルを決め、その後の数のスキルにも影響を与えるというわけです。
結局、数のスキルも言語環境が重要になるのです。
6歳の時のスキルが、15歳まで影響を与えているとは、驚きだね。
ちなみに15歳以降は影響は与えないの?
現状、そのデータはないのでそのようなことは言えないのん。
そっか。
じゃあ、6歳までの数のスキルとはいうけど、いつ頃から数のスキルって身につくの?
赤ちゃんの数当てスキル
赤ちゃんは、生後2日目で数の感覚を持っていることがわかっています。
具体的には、物の数を当てる感覚をすでに持っています。
実際その感覚を検証した研究が報告されています。
研究者が特定の数の音を言うと、赤ちゃんはその音と同じ数の角がある図形を示すことができたのです。
例えば「ツー・ツー・ツー・ツー」という音を言うと、赤ちゃんは四角の絵を長く見つめました。
また「ツー」を12回を言うと、12角の絵を長く見つめました。
その半年後、同じ赤ちゃんにもう一度同じ実験を行った所、驚く結果が出ました。
なんと、数字合わせの能力が高かった赤ちゃんは、その後の算数/数学スキルの能力と相関して高かったのです。
そんな早くから数の概念が理解できるか。
しかも早くに数のスキルを身につければ、後々の人生においても影響するってことね。
そう、その通りだのん。
次に、赤ちゃんがどのような数のスキルを持って、次にレベルアップしているかを紹介するのん。
概数認知スキル
概数認知スキルとは、おおよその数を把握する能力で、数を使う能力の最初の段階とされています。
例えば、スーパーでレジが混んでいる時、できる限り空いているレジを探して、並ぶと思います。
その際に、おおよその人の列を認知していると思います。これが概数認知スキルです。
おおよその数を推測した上で、その推測をもとに基本的な算数をしていく。この能力はネズミやサルにもあることがわかっています。
ではなぜ、人間が算数や数学ができるようになり、動物にはできないのでしょうか。
それは「言葉」があるからです。
この言葉があるから、概数認知スキルからレベルアップをし、十数年の歳月を経て、難しい数学ができるようになるのです。
言葉は、数字の力だけでなく、「やり抜く力」や「自制心」などの力を伸ばします。
そのような力が複合的に絡み合って、数のスキルが伸びるのでしょう。
だからこそ言葉環境がとても大事なのです。
ママパパの言葉が数字の力を伸ばす
ママパパの言葉が概数認知スキルをレベルアップした事例を紹介します。
概数認知は人間の初期の算数スキルです。
次の段階の1つとして「基数の原理」というスキルがあります。
これは数字が「モノの合計を表している」ことを理解することです。(ここでは理解をするために「モノ」としますが、正確には「数える対象全ての合計」です。モノだけなく、生き物も対象ということになります。)
例えば、3つのりんごある場合、「3個のりんごがある」と分かれば、基数の原理が理解できることになります。
理解していない場合は、「1という名のりんご」「2という名のりんご」「3という名のりんご」のように、合計ではなく、「りんごそれぞれに数字の名前がついている」という理解の仕方になります。
この「基数の原理」にレベルが伸びた事例を紹介します。
登場人物はママと赤ちゃんです。
ママがテーブルに積み木を並べ、「1・2・3・4・5」と子供の目の前に出します。
子供は「1・2・3・4・5」とママの真似をします。
もしかしたら片言の発音かもしれません。
でもママは赤ちゃんを「よくできました!」と褒めます。
子供は満面の笑みになり、ママも笑います。
可塑性の高い赤ちゃんの脳は、ママの言葉と数をすぐさま吸収することができます。
ただ、1回だけでは基数の原理は理解ができません。この状況は、ただママの言葉を真似しただけです。
赤ちゃんは積み木にそれぞれに数の名前がついている、という感覚でしょう。
次に、ミニカーで「1・2・3・4・5」、絵本で「1・2・3・4・5」、人形で「1・2・3・4・5」を繰り返したらどうなるでしょう。
このやりとりを繰り返すうちに、赤ちゃんは「数はモノの総数」だと理解するようになるのです。
これが理解できれば、さらに高度な算数のレベルに向かうことができます。
上記の流れで、大事なのは「基数の原理」を理解することもそうですが、最も大事なのは「ママパパの言葉」になります。
ママパパが手本となって、教えてあげる環境があること。
そして褒めてあげること(愛情あるやりとり)で、赤ちゃんはさらにママパパの喜ぶ顔が見たい一心で、繰り返しをします。
よってママパパの言葉は、赤ちゃんの数のスキルをレベルアップさせる重要な要素であるのです。
結局、ママとパパのやりとりが赤ちゃんの数の能力を上げるんだね。
そうだのん。ちなみ数の能力だけでないのん。
今日は時間がないから数の能力だけのん。
でも、この事例って1つだけでしょ?
本当にママとパパの言葉って影響があるの?
さすが、いい所ついてくるのん。
この後仕事があるから、また今度実際の研究を紹介するのん。
じゃ。
(相変わらず、強引だ別れ際だ。)
え〜、ちゃんと教えてよ〜、バーイバーイ。
そもそも仕事って何をしてるんだろうか。。。
まとめ
- 6歳時の数のスキルは、15歳時のそれに相関すること
- 赤ちゃんは生後2日目から、数のスキルが芽生えること
- ママとパパの言葉が赤ちゃんの数のスキルを伸ばすこと
いかがでしたでしょうか。
数のスキルは、あらゆる学習で必要ですし、理系の科目であれば基礎中の基礎の科目になります。
もちろん社会人になっても必要なスキルで、数字ほど物事を正確に表し、相手も理解できる表現はあまりないと思います。
そしてその基礎を作るのが、言葉環境になるのです。
次回は、実際の言葉環境の違いが、どう子供の数のスキルに影響を与えたのかを勉強したいと思います。
原理や効果を知ると、意識した行動ができるのではないでしょうか。
この記事によって、少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。
未来ある我が子のためにも、共に学んでいきましょう!
それじゃ、Have a nice fay!
【参考文献・資料】
Greg Duncan 「Long-Term Neighborhood Effects on Low-Income Families: Evidence from Moving to Opportunity」
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