ママパパは赤ちゃんの日本語の唯一の先生〜限られた生後10ヶ月の期間で効果的にやりとりをするために〜

赤ちゃんにとって、ママパパは日本語の先生です。話しをすればするほど、聞く力・話す力が伸びます。赤ちゃんはどうして言葉が話せる様になるのか、が理解できると赤ちゃんとのやりとりが増え、赤ちゃんの脳の発達に影響します。それではその点について本日は共に学んでいきましょう!

こぶお
こぶお

こんにちは!ティラノ博士!
妹が少し言葉を話し始めたんですよ!

こんにちわ!
それはこぶおくんの努力のおかげのん!

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

嬉しかったよ、毎日話かけていたからね〜。
ところで、赤ちゃんはどうして話ができるようになるの?

その点が理解できると、ママパパのやりとりが意識的になるのん。
今回はその点を紹介するのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

目次

赤ちゃんが言葉を理解する原理

赤ちゃんは生まれた後、初めて聞く言葉を聞き、意味を理解し、話すまで約1〜2年しかかりません。

とてつもない成長です。

では、どのように言葉を理解し、話す様になるのでしょうか。

それは「構文解析」といわれる作業を脳内で行い、言葉を理解していると言われています。

例えば、「パパのかわいい子はだれかな〜?」という言葉があります。

赤ちゃんはこの文章を、脳内で「パパの」「かわいい子は」「だれかな〜」とそれぞれに意味があることを理解します。

これを再度文章に置き換えて、文章全体を理解するという流れになります。

そして最終的にはこの言葉を使える様になり、質問に答える、ということができる様になるのです。

簡単に書きましたが、このスムーズな行程になるためには、赤ちゃんの脳内では大変な試行錯誤が行われています。

赤ちゃんが言葉を理解するための4つの工程

そもそもママパパの使う言葉は、赤ちゃんにとっては「意味不明な音」です。

まず赤ちゃんは、その流れてくる音を「聞き取る段階」があります。

その後、聞き取った音を、名詞や形容詞など適正に「切り分ける段階」があります。

最初は、「パパのかわ」「いい」「子はだ」「れかな〜」となっている可能性も大いにありえます。

その後、切り分けた単語を「理解する段階」があるわけです。

そして理解した単語を「再度並び替えて文章を理解する段階」があるのです。

我々が英語を学ぶ時と似ていますね。発せられた言葉を聞き取り、各単語の意味を理解し、文を再度振り返り、文章全体の意味を理解する。ただなかなか上達は難しいですね。

ママパパが伝えた言葉を理解するためには、これだけの段階を習得をしなければならないのです。しかも誰からも教わらずに。

そのことから、赤ちゃんにとって、ママパパの言葉は言葉を習得するための唯一のツールであり、先生なのです。だからこそ、その言葉の多さが脳の発達にも大きく影響するわけなのです。

これを提唱したのは、Patricia kuhl教授(ワシントン大学 音声・聴覚科学 教授)です。音を聞いた時の赤ちゃんのおしゃぶりを吸う回数の変化といった単純な指標を用いて赤ちゃんが言葉を学んでいくステップを慎重に解読していったそうです。また最新の脳磁図を用いて活動している脳のリアルタイム画像を撮り、研究を行い、この工程を考察しました。

こぶお
こぶお

赤ちゃんはこんな複雑な工程を頭の中でやっているんだね、びっくりだよ。
この工程はいつまでやっているのかな?
少し話せるようになってもやっているのか?

ズバリ、10ヶ月と言われているのん。
その点解説していくのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

ピークは10ヶ月

これまでの記事で書いた通り、赤ちゃんの脳は可塑性で、生後1年間は人生で最も脳神経細胞が活発に働く時期です。

この時期、赤ちゃんはどんな言葉でも聞き取り、理解することが可能です。

日本語、英語、中国語、スペイン語など全てです。

そして、赤ちゃんは主に聞いている言語に特化して、聞く力が発達していきます。

それがママパパの言葉(母国語)です。

聞けば聞くほど、聞き取る>理解するなどが働く脳神経細胞が複雑に絡み合い、スムーズな情報伝達回路が出来上がるのです。

ただ、これは何を意味をするのかというと、不必要な音(母国語以外の言語)の聞き取る力は弱くなります。

以前の記事で紹介をしましたが、1歳までの脳は大量な情報が入ってきており、パンク状態です。そのため、そのパンク状態を少しでも軽減するためにも必要な部分を強化し、不必要な部分を弱体化させてしまうのです。

その事例として英語の「r」と「l」の聞き取りが挙げられます。

赤ちゃんは言葉の数を統計している

生後6〜8ヶ月の日本の赤ちゃんに行った研究を紹介します。

生後6〜8ヶ月の時点では英語の「r」と「l」の音を聞き分けていました。

しかし、2ヶ月後にその赤ちゃんたちに再度「r」「l」の聞き分けの実験を行った所、聞く分けることができなかったのです。

別の音でアメリカの赤ちゃんに聞き分けの実験を行ったところ、同様の結果が出たそうです。

6〜8ヶ月の赤ちゃんではできたのに、10ヶ月目でできなかったのはなぜか。

これは、赤ちゃんの脳の可塑性のピーク時期の状態であり、「この音は必要ない」と判断し、この神経回路の発達を弱体化させたためです。

では、赤ちゃんはどのようにして、入ってくる音を「必要」か「不必要」かを判断しているのでしょうか。

それは赤ちゃんが音を統計して、多ければ「必要な音」、少なければ「不必要な音」と判断しているというのです。

驚くべき、赤ちゃんの能力です。

そのことから生後10ヶ月までの脳の可塑性のピークまでにより多くの言葉を浴びせることが、聞く力・話す力に影響をするのです。

こぶお
こぶお

結構短い期間で、脳は判断してしまうんだね。なんだか、もったいない気もするけど・・・。
じゃあ、多くの言葉を聞かせるために、テレビとYoutubeを見せるのはどうかな?
多くの言語を覚えそうな気がする。

そんな単純じゃないんだのん。
実は、それは「効果がない。」という結果が出ているのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

テレビでもいいのか?

より多くの言葉環境が重要と伝えましたが、これはテレビやYoutubeなどでもいいのか?という疑問があります。

結論、効果はありません。赤ちゃんの統計には含まれないということです。

上記の同じ研究をされたPatricia kuhl教授がアメリカの生後9ヶ月の赤ちゃんでこの実験を行っています。

あるグループは、赤ちゃんが抱っこをされながら、マンダリン(中国語)が流れるテレビを見せ、聴かせました。一方で、抱っこをされたまま、マンダリンで話かけられるグループで、音の聞き分けを検討をしました。

結果は予想通り、抱っこされたまま、マンダリンで話かけられたグループの方が、音の聞き分けができていたのです。

テレビでマンダリンを聞いていたグループは、全く何も覚えていたかった(ベースラインを同じ)だったのです。いわゆる、何も脳が反応していなかったのです。

こぶお
こぶお

なんと!?

驚きの結果だのん。
ママパパ(ケアする人)とのやりとりが赤ちゃんの言葉を育てるんだのん。
次にママパパが赤ちゃんにできる、効果的の言葉を紹介するのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

ママパパの「愛情ある言葉」が赤ちゃんを育てる

ここまででわかる通り、まあママパパの愛情ある言葉が赤ちゃんの脳を反応させ、必要な言葉を聞き取り、話すまでの力を身につけさせるのです。

赤ちゃん言葉で話しかける

ママパパが話す際は「赤ちゃん言葉」を使う方が、赤ちゃんが覚える単語がより多い、という研究結果が出ています。

この研究では、1才児26人とその親を観察しました。

研究当初、ママパパが赤ちゃん言葉を使っている赤ちゃんの方がよく喃語(なんご)が出るということがわかりました。
「喃語」とは、「あぶう」「あう」「まむ」「ばぶばぶ」「あむあむ」「まんまん」など、赤ちゃんが発する意味を伴わない音声のことです。
これは、赤ちゃんが意味のある言葉を発する前の段階であり、言葉への意欲の表れでもあり、練習の意味もあります。

次に赤ちゃんが2才になった時点で再度調査をしました。
すると、親が赤ちゃん言葉を使って話しかける機会が多かった赤ちゃんは、平均で433の言葉を獲得していました。

それに対して、親が赤ちゃん言葉で話しかける機会が少なかった乳児は平均169語の言葉でした。

つまり、前者は後者の約2.6倍の語彙力なのです。

聞き取りやすい赤ちゃん言葉

赤ちゃん言葉とは、例えばこんな感じです。

「おはよぉ~●●ちゃん、きょうはげんきでちゅねぇ~、たくさんねれたのかなぁ~、いないいなばぁ~」

クールなママやパパが赤ちゃんに話しかける言葉になります。

これが、赤ちゃんにとってはとても聞き取りやすい話ことばなのです。

この効果は4つの効果が働くといわれています。

  • 耳に入る音を区別する効果
  • 各単語を、切り分ける効果
  • 相手の感情を理解する効果

これは先に述べた「赤ちゃんが言葉を理解するための4つの工程」の「聞き取る力」「切り分ける力」を促す効果になります。

またこの赤ちゃん言葉を更に効果的にするための要素があります。

・抑揚をつけて話す

「きょうはごきげんでちゅねぇ~」という短文でも、抑揚をつけるたりするのはどうでしょうか?

・語尾の母音伸ばし

「きょうは、ごきげんでちゅねぇ~」という短文でも、抑揚をつけて、語尾を伸ばしたり、上げたりするのはどうでしょうか?

・表情/身振りで感情の表現

「きょうは、ごきげんでちゅねぇ~」という短文でも、目や口、鼻の穴を大きくしたり、両手を大きく広げたり、上に上げたりするのはどうでしょうか?

・シンプルな短文を繰り返し

「きょうはげんきでちゅねぇ~、たくさんねれたのかなぁ~」という短文のように、なるべく短くするのはどうでしょうか?

このような赤ちゃん言葉は、生後2日後の赤ちゃんを振り向かせたという研究結果もあります。

いつもよりもオーバーリアクションで、ゆっくり話すことをお勧めします。

豊富なコミュニケーションにつながる

赤ちゃんは6ヵ月過ぎから初期の喃語がつながり始め、「まんま」「ばーばー」などの言葉は増えてきます。

その際は、「褒める」をしてあげてください。それもオーバーリアクションで。

褒めることは赤ちゃんにとって、とてもうれしいことです。

この時期は声の響きの面白さを感じたり、練習をしている時期ですので、大好きなママパパがこのようなオーバーリアクションだと、赤ちゃんはとてもうれしいはずです。

褒められると「もっと頑張ろう、喜ばしてあげたい」という思考になるのは全年齢共通です。

またこの際、スキンシップを取ることをお勧めします。

スキンシップを取ると、ママやパパ、そして赤ちゃんにオキシトシンが産生されます。

オキシトシンは「愛情ホルモン」です。ママパパが赤ちゃんへの愛情を高めます。

また赤ちゃんもその愛情を高めるほか、ストレスへの耐性にも効果があります。

詳細はこちらの記事です。

単語赤ちゃん語
ママま、まんま、まー、まま
パパぱあぱ、ぱ、ぱー
おにいちゃんにぃに、にに
おねえちゃんねぇね、ねね
おじいちゃんじいじ、じい
おばあちゃんばあば、ばー
いぬわんわん
ねこにゃんにゃん、にゃーにゃー
むしぶんぶん、むいむい
はとぽっぽ
にわとりこっこ
ねずみちゅーちゅー
うしもーも
うまんま、おんま、ぱかぱか
ひつじめーめー
呼ばれたら胸キュン!家族や動物などの呼び方

単語赤ちゃん語
あし・歩くあんよ
すわるちゃんこ、ちょっこん、おっちん、えんこ、とん
かむかみかみ、あむあむ
食べるぱくぱく、ごっくん、もぐもぐ、あーん
立つたっち、たっちっち
ねるねんね、ねんねん、ねんこ
かゆい・かくかいー、かいかい、かきかき
かたづけるないない、ないする
お祈り・お参りなむなむ、のんのん、あーむー
清潔にする・洗うきれいきれい、きれー
うんち・うんちをふくもー、もーする、もーもー
おしっこするちっち、しっし、しーしー
伝わる動作・行動の呼び方

単語赤ちゃん語
だっこだー、だっだー、あっこよ
おんぶおんも
そとおんも
だめめ、めーめ
きたないばっちい、ばっち
おめめ、めんめ、めめ
おなかぽんぽん
おっぱいぱいぱい、ぱい
てて
べべ、おべべ
くつくっく
靴下たった、くつった
ぶーぶー
お風呂ちゃっぷん、たんたん、たーたー、ぼちゃ
ごはんまんま
ちゅるちゅる、ちゅーちゅー
牛乳・ミルクにゅーにゅー、みーく
モノ・状態などの呼び方

たまGoo!「赤ちゃん語の一覧を大公開!赤ちゃんの言葉はこう成長する」
こぶお
こぶお

赤ちゃん言葉にこんな効果があったんですね〜。
ちょっと恥ずかしいから、妹と二人きりじゃないと使えないなあ〜

面白い研究結果だのん。
赤ちゃんはやはりママパパ(ケアしてくれる人)を信頼している証拠だのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

なんだか不思議な関係ですね。
あとはママパパの行動次第ですね!

そうだのん。
だだ知らないでやるのと、理解して意識してやるのとでは全く異なるのん。
ママパパはとても大変だのん。だけどその中でも効果的に赤ちゃんとやりとりをして欲しいのん。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ
こぶお
こぶお

それが、「赤ちゃんの可能性を発揮させる!」ですね。

そうだのん。
限られた10ヶ月を有効的に使って欲しいのん。
では、今日はこの辺でお開きだのん。
じゃ。

Dr.ティラノ
Dr.ティラノ

まとめ

  • 赤ちゃんが言葉を理解する工程は、4つの工程があること
  • 赤ちゃんの脳は、必要な言葉を統計し、選定していること
  • ママパパの赤ちゃん言葉が、赤ちゃんの言葉を育てること

いかがでしたでしょうか?

今回は、「ママパパは赤ちゃんの日本語の先生」と題し、赤ちゃんが言葉を話せるまでの工程や注意点を共に学びました。

原理や根拠を理解しておくと、ティラノ博士が言う「知らないでやるよりも、知っていて意識してやる」ではだいぶ行動が変わるのではないでしょうか?

この記事によって、少しでも読者の方々の意識と行動に変化があれば幸いです。

未来ある子供たちのためにも、共に学んでいきましょう!

それじゃ、Have a nice day!

【参考記・文献・書籍】

Nairán Ramírez-Esparza「Look who’s talking: speech style and social context in language input to infants are linked to concurrent and future speech development」

たまGoo!「赤ちゃん語の一覧を大公開!赤ちゃんの言葉はこう成長する」

ダナ・サスキンド「3000万語の格差」

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